大相撲十一月場所十二日目

昨日書きそびれていたが,臥牙丸が引退を発表した。

 

琴ノ若が左上手をとって攻め,千代ノ皇を上手出し投げ。琴ノ若は今日が誕生日だった。

炎鵬が中に入ろうとしたが,逸ノ城が突き放して押し出し。

竜電が左を差そうと低く攻めたが,志摩の海がおっつけてこらえ,自らが左下手をとるとさっと左下手出し投げ。志摩の海の相撲が上手かった。

明生一度つっかけ。二度目は千代翔馬が右に変化して明生がついていったが,千代翔馬の手付き不十分として行司が止めた。場内がざわついている。三度目,両者頭から当たって明生が押し勝ち,明生の押し出し。千代翔馬は二度目の立ち合いで決着をつけたかった。

徳勝龍と千代大龍が互いに左四つ,千代大龍の方が体勢が良かったが,徳勝龍が先に攻めて寄り切った。千代大龍は立ち合いで押し込めなかったのが敗因。

魁聖が一気の出足,琴恵光を押し出し。

豊山と碧山の押し合い,碧山が引いて呼び込み,豊山の押し出し。碧山負け越し。

両者強く当たって豊昇龍が押し込み,両側から抱えて照強を浴びせ倒し。

空海が一気の出足,遠藤が組み止めかけたが,天空海が右からの突き落とし。

妙義龍が一気の出足で攻め込んだが千代の国が左で突き返して土俵中央に戻し,千代の国のはたき込み。千代の国勝ち越し。

 

北勝富士栃ノ心が互いに右下手で上手はとれず,栃ノ心があきらめて巻き替えてもろ差し,そこを北勝富士が寄っていき,栃ノ心がユルフンだったが上手く栃ノ心の差し手を封じて寄り切った。北勝富士が連日の熱戦である。北勝富士勝ち越し。

隠岐の海が攻め込んだが,琴勝峰が右にかわしてはたき込み。

輝が当たり勝って阿武咲を押し出し。

両者頭で当たって佐田の海が右上手で霧馬山が左下手,投げの打ち合いとなり,そのまま霧馬山が寄り切った。

若隆景が差し勝ってもろ差し,翔猿を寄り倒し。翔猿負け越し。

高安が押し続け,大栄翔が逃げ回ったが,高安の突き落とし。

照ノ富士が一気の出足で左下手を取り,もろ差しをうかがいながら御嶽海を寄り切り。照ノ富士が10勝目,大関取りの起点が成立した。

隆の勝が一気の出足でもろ差し,玉鷲を寄り切り。

貴景勝が一気の出足で宝富士を押し出し。

 

貴景勝と志摩の海が1敗,照ノ富士が2敗,竜電が3敗という状況で,優勝争いはこの4人に絞られた。十三日目に1敗同士が直接対決する。

貴景勝は昨日までに年間48勝で年間最多勝が確定していたが,これで49勝,単独1位となった。貴景勝は今場所優勝できなければ,稀勢の里以来2人目の優勝なしの年間最多勝になってしまうが,照ノ富士に負けなければ今場所優勝の可能性は高い。

なお,稀勢の里は2016年に優勝なし年間最多勝を取った際はそれが優勝1回相当と見なされ,さらに2017年初場所に14勝で優勝したため,合わせて連続優勝相当と見なされて横綱昇進となった。しかし,稀勢の里の2016年は90戦69勝で場所平均11.5勝と水準が高く,しかもほぼ年間を通じて綱取り場所と期待をかけられ,実際に優勝争いにも毎場所顔を出しており,九州場所の場所前に「年間最多勝は綱取り起点」と明言もされていた。それに対して今回の貴景勝の年間最多勝は今場所残り全て勝っても75戦52勝で場所平均10.4勝とやや物足りず,負け越しと途中休場を含み,綱取りの明言もされていない。貴景勝はやはり優勝しなければ綱取り起点にはならないだろう。

もののついでに調べてしまったのでメモ代わりに書いておくが,貴景勝の49-52勝はやはり年間最多勝の絶対値としては過去最低の記録。しかし,2020年は年5場所だったというハンデがあり,場所平均にならすと9.8~10.4勝になり,また年6場所に敷衍すると59~62勝くらいの成績ということになる。これで比較すると1991年の霧島(62勝),1992年の貴花田(60勝),2017年の白鵬(56勝),2018年の栃ノ心(59勝),そして2019年の朝乃山(55勝)といった事例が挙げられ,今回の貴景勝の年間最多勝の価値は決して極端に低いとは言えない。